戦前の写真集

 最近、戦前の暮らしに興味が湧き、人や着物の写真集を三冊見ました。

LUNCOのオモシロ着物柄 (Marble books)
LUNCOのオモシロ着物柄
永田 欄子 (2004/10)

 色あざやか、斬新なきもの柄を多数紹介したオールカラーの本でした。

 きものの市場が広かった戦前は、実にさまざまな柄があったんですね。今は市場が狭いから、売れ残ったら大変。流行の顔色を伺うような、おとなしめの色、似たり寄ったりの柄が多いですけれど。

 衝撃的だったのは、戦闘機柄です。旭日旗や日の丸柄が添えられたものもあり、日の丸+卍(状況からしてお寺じゃないよね)の柄も。これらをどう解釈したものか。

 まあ、別の本でもテニスラケットなどがモチーフとなった「ご成婚柄」のきものを見ましたから、当時はきものの柄を思いついたら割とあっけらかんと、すぐ商品化してしまっていたのかも。

 ユニオンジャックや星条旗柄のTシャツを見てもなんとも思わないのに、日の丸柄だと引く、というのも逆にヘンか、と思ったり。衣類の柄を「主張」と捉えるべきか否か。いろいろ考えてしまいました。



幕末維新明治・大正美人帖―古写真でよみがえる近代の綺羅星 (別冊歴史読本 (42))
幕末維新明治・大正美人帖―古写真でよみがえる近代の綺羅星
ポーラ文化研究所 (2003/03)

 人気芸者の絵葉書や女優、政治家夫人や華族令嬢などのポートレイトなど、まさに「美人帖」。当時の写真なので、ほとんど白黒。洋装姿もありますが、メインはきもの。とくに「三州家さかえ」という名の芸者さんがものすごくきれいで可愛らしく、うっとりしました。

 幕末から大正までの数十年の間に、きものの形は変わらないのに、着こなしだけが変わっていくのも面白い。時代が古いほど、舞妓さんのように、衿の打ち合わせが浅く、半襟がぽってり。現代に近づくほど、見せる半襟の量が減り、裾を引きずらなくなっていく。

 洋服は形がどんどん変わっていくのに、この着物の形の変わらなさ加減は一体なぜなんだ、と思います。

 なぜそこまでこの形にこだわるのか。

 それとも、柄や生地にこだわり、形にはこだわらないからこそ、変わらなかったのでしょうか。



写真でよむ昭和モダンの風景―1935年‐1940年
写真でよむ昭和モダンの風景―1935年‐1940年
津金澤 聰廣 (2006/05)

 昭和10年から15年までに撮影された写真を集めたすごいボリュームの写真集。皇族のポートレイトから始まり、ファッションスナップ、家庭インテリア、乗り物、おもちゃ、医療現場やスポーツシーンなどなど。

 ここでも衝撃だったのは、幼稚園児が戦争ごっこをしている写真です。子ども達が勝手にやっているという風ではなく、園のプログラムの一環のようで、ヘルメットをかぶった子ども達が銃を構えながら地べたに伏していました。

 きもの関係では、銀座のスナップが興味を惹きました。昭和に入ってからとあって、今と変わらない着方ですが、大胆に染め分けた銘仙に、大きな花柄の帯。お太鼓は左右に曲がったり、五角形にとんがっていたり。今よりもずっときもの文化はおおらかだったのだなあ、と感じさせます。

 逆に、洋服のほうは、今よりもずっと生真面目。ハンで押したようにみな揃いの丈、同じテイストのワンピースで、靴のヒールの形までみな同じ。オシャレな帽子をかぶり、洋装の人のほうが、心なしか、オシャレに気合が入っているような。洋服の位置づけが、今とは逆転している感じ。きものが普通だった時代は、洋服のほうが、「わざわざ着る」ものだったのかもしれません。



 最近、きもののおかげで多方面に興味が膨らんで、大忙しです。


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Author:うさぎ
50歳にして着物を着始めた、最初の一年間の日記です。 

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