紗の裄出し

 紗の裄出しをしました。

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 特殊な素材なので、緊張しましたが、意外とラクでした。時間は結局3時間近くかかったけど。単衣、けっこう時間がかかるなあ。「くけ」ができないので、まつるのに時間がかかるんです。

 今回は、まつりぬいとくけの折衷を考案。手前の布を少し折ってまつると、見た目はくけのように見える。そんな感じでやりました。

 前に見た幸田文原作の映画「おとうと」では、主人公が弟のために着物を縫うシーンがあるのですが、その並縫いが、異常に速いんです。ほんとに縫ってるのか?と思うほど。

 同じ幸田文の小説「きもの」では、主人公の祖母が一日で着物を一枚縫い上げるシーンが出てくる。それはきっとこういう速度で縫うんでしょうねえ。わたしにとっては別世界の話ですけど。



 とまれ、これで単衣の裄出しも、4枚目。紬、麻の長襦袢、正絹の紗と、さまざまな素材を体験しました。同じ単衣の仕立ても多少のバリエーションがあるようで、元の縫い目を解くとき、縫い目の細かさとか、袖付け止めの始末などで、それを知ることができる。

 少しずつ違った着物を解いたり縫ったりすることで、少しずつ自分の間口が広がっていくのを感じます。新たな着物の裄出しをするたび、新たな問題に直面することも多く、その対応に追われ、ちっとも上達しませんが、上達しないその時間は何に費やされているのかというと、未知との遭遇に費やされているのであり、一見無駄なその「未知との遭遇」にも実は意味があるんじゃないか、と思ったりもして。



 こんなにしょっちゅう裄出しをしていると、きっと裄出しが好きなんじゃないかと思われているのでは、と思いますが、全然好きじゃありません。面倒で面倒で仕方がない。こんなことをせずにすめば、どんなにいいかと思います。もし宝くじに当たりでもしたら、絶対自分じゃならないよ。お金払って誰かにやってもらいます。

 でも不思議と、裄出しをしているときが一番、着物に愛着を感じる。それも確かです。直接素材に手を触れ、その特性を見定めながら、針を進めたり、アイロンをかけたりするからでしょうか。着ているときよりも、はるかに、愛着を感じます。

 今回の紗は、筋付けもラクなら、消すのも案外簡単。元の折線はわりときれいに消えましたが、ヘラのあとが細く光っていて、これだけは消せませんでした。

 でも紗ってきれいですね。二枚の布が合わさっているように織られていて。表は黒いのに、裏は赤。薄そうに見えて、意外と厚い。涼しそうに見えて、でも意外と風を通さないのでは、と縫っていて思いました。

 少しでも風通しをよくするためか、袖付けは短め、その分、身八つ口が広い。

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着物の表と裏。表は黒く、裏は赤い。からみ織りの一種だそうです(※ からみ織 もじり織参照)。

 こんな技巧的な織物が昔からあったとは考えにくい。おそらく最近のものだろうと思いきや、なんと16世紀に明から伝えられたというではありませんか(※ 搦み織ミニ講座参照)。意外でした。




 とまれ、これで紗の裄出しも完了。


 ・長襦袢1の身丈出し・裄出し
 ・長襦袢1と2に美容衿をつける
 ・紗着物の裄出し
 ・絽着物のリメイク



 これであとは絽のリメイクだけだー!

 ・・・って、これが一番の難物ですが。






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Author:うさぎ
50歳にして着物を着始めた、最初の一年間の日記です。 

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