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脱・ネット情報

 インターネットは、わたしが知る限り、どこよりも着物に関する情報が豊富な場所です。周囲を見回しても着物を着ている人なんてほとんどいない、古都鎌倉に行ってさえ、数えるほどしかいないのに、インターネットを見渡せば、世間は着物好きであふれている。和裁士や着付け師など、着物に関する仕事に携わる人も珍しくない。

 ヤフー知恵袋やおしえてgooなどの質問掲示板では、着物暦の長い人、或いは着物関係の仕事をしている人が、着物の世界での常識を、質問者の疑問に答える活動が盛んです。

 わたしもそういう場を利用して、ここ半年、着物世界の常識を学んできました。わたしが疑問に思うようなことは他の人も疑問に思うらしい。探せばたいてい、答えは簡単に見つかる。

 世の中、着物に詳しい人って多いんだなあ、と驚きつつ、実は、知らないのは自分だけだったのかもと思いながら、そうした知識を素直に受け入れてきました。




 でも最近、ハタ、と気付いた。ネットでは常識に見えること、それは本当に常識なのか、と。

 ネットでどう見えようとも、本当は、着物を着る人などほとんどいない。そんな中、『着物の世界の常識』は、『一般世間の非常識』なのでは?と。

 だって常識というのは単純に、多数決の論理。理論的にどちらが正しいかに関係なく、Aと思う人が多ければ、Aが常識、Bと思う人が多ければ、Bが常識でしょう?

 ということは、着物通がほんの一握りしかいないこの時代、その少数派がどれだけ「これが正しい」と主張しようとも、その他大勢がそう思わなければ、勝ち目はない。

 例を挙げるならば、たとえば色喪服。その装いが歴史的にはどんなに正しかろうと、喪服=黒、と思っている大勢には理解されないわけです。

 言葉においても誤用の定着は日常茶飯事ですが、今の時代における着物ルールはなおさら。本来は間違いだったとしても、その間違いが一般化すれば、そっちが常識となる。



 また、『今日の常識』は、『明日の非常識』

 たとえ昨日まではAが常識であったとしても、Bと思う人が増えれば、今日からはBが常識。着物を着る人が少ない今、「これが常識」「それは非常識」なんて言ったって、明日どうなるか、分かったものではない。何しろ母数が少ないんだから、ちょっとしたバランスの変化で、どうとでも転ぶ可能性があるわけです。

 たとえば、ちょっと前まで「袷から単衣への衣替えは6月1日」が常識だったようですが、今や5月の単衣はすっかり市民権を得た様子。むしろ「着物の世界では季節の先取りがお約束」の勢いで推奨されてる気がします。

 明日にはこれが「5月に袷を着るなんて暑苦しい」と非常識扱いされても、驚くにはあたらない。




 着物の常識というのは、ことほど左様に危うい。

 今までは、こと着物に関して、先輩たる着物通の人のいうことを聞いておけば間違いがない、くらいに思っていましたが、こう考えてみると、ほんとに危ういなあ、と思います。

 狭い着物世界の中でさえ常識は一つではなく、しかもネコの目のように変わっていく上に持ってきて、その世界自体、世間一般から見たらごく一部の人のマイナーな小世界なのですから。着物暦が長くなれば長くなるほど、世間一般の感覚からかけ離れていく。




 着物にハマったごくごく最初の頃は、着物のハマる前から名前を知っていた超有名どころの大御所先生の本ばかり読んでいて、でもこうした本にはあまり細かい着物ルールが載っていませんでした。

 だからネットから知識を入れるようになったのですが、今にして思えば、着物の変遷を長い目で見てこられた年配の先生ほど常識の危うさをご存知で、文化の多様性に気付いておられる。だからこそご自分の本にあまり細かいことを書かないのかもしれないなあ、と。

 本に書かれていないことは、好きにしていいんだと解釈し、自由に着ていればラクだったものを、わたしはなんだって、ネットなんか調べたりしたんでしょうねえ・・・。そしてわざわざ細かいルールで自分を縛ってしまった。中には、今から見れば、どうみたって勘違いとしか思えないようなものまで含まれていたのに、そんなガセねたにまで翻弄され、裏づけをとるのに苦労して・・・ご苦労なこってす。

 でもそのときのわたしにしてみれば、無知であることが不安、知識に空白があることが不安で、全てをきっちりはっきりNOかYESで分けておきたかったのでしょう。

 また、万一誰かに何か言われた際の論理武装用に、重箱の隅をつつくようなことまで調べつくし、どこから攻められてもいいように、裏をとっておきたかった。


 でも。

 着物の世界では初心者でも、他の世界ではいい加減、新旧の交代や諸行無常をみてきた年齢なのだから、今後は、もうすこしどっしりいこうと思います。



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Author:うさぎ
50歳にして着物を着始めた、最初の一年間の日記です。 

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