十日町紬

 久々にリサイクル着物屋に立ち寄りました。

 買ったのは半襟一枚だけ。でもそのあと紬を一枚試着させてもらいました。地色は金色とベージュのグラデーションで、ところどころ変わり織(刺繍かも?)があり、あと何て言ってたかな、栗繭だったかな?、横糸の色が所々茶色になっている、素敵な着物でした。

 ところが店員さんに産地を尋ねたところ、ちょっと慌てた様子で申し訳なさそうに「あっ、産地っていう意味では十日町あたりのもので、特別いい物ってわけでは・・・」という答えが返ってきました。

 その返答にこっちも慌ててしまい、「あっ、十日町紬、大好きですっ!!」となんだかやけに力強く断言してしまいました。実を言うと、十日町紬だけが特別好き、ってわけではないのですが。

 もしこれが大島紬や結城紬だったら、この質問はもっと歓迎されたのだろうかと思うと、なんだか十日町紬がかわいそうで、だから思わず肩入れしてしまったのです。産地に序列があることが、なんだか切なかった。

 確かに、気の遠くなるような手間や、古くから培ってきた歴史などには価値があると思うし、手間や歴史の程度により、価格や評価が変わるのも分かる。でもできれば「これは十日町で織られたものなんですよ」と、誇らしげに説明して欲しかった。

 もしかしたらこの店員さんは、有名な産地の紬でないと知った途端、お客が興味を失う場面に何度も遭遇してきたのかもしれませんね。だから産地を訊かれて困ったのかも。

 でもお客は、店員の対応を見て学習するのです。「これは○○紬なんですよ」と誇らしげに紹介されれば、それはきっといいものに違いないと思い、自信なさげに紹介されれば、さほどいいものではないと理解する。

 こうして店員はお客に、お客は店員に感化されながら、相互作用でモノの序列をつくっていく。



 わたしが「十日町紬」に初めて出会ったのは、別の着物リサイクルショップの店員さんのお召し物について尋ねたときです。その店員さんは、袖の模様を広げて見せ、「これは十日町紬です」と教えてくれました。それがわたしの十日町紬に対する印象を決めました。あれから半年たった今でも、その生地の風合いを覚えています。銘仙のようにかすれた菊の模様が素敵で、その日、それと良く似た菊模様の羽織を買って帰ったことも。

 その最初の印象を、わたしはこれからも持ち続けたい。だからもう、今日の出来事はここに書いて消化してしまおうと思います。



 
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Author:うさぎ
50歳にして着物を着始めた、最初の一年間の日記です。 

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