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季節感

 うだるような暑さが続いていますが、昨日、自分なりの季節感に気付き、清清しい気分です。

 一体今まで何を悩んでいたんでしょうね? とっても簡単なことだったのに。

 暑かったら袖なしや半袖を着て、寒かったら長袖を着て。洋服なら当たり前にやっていることが、着物というだけで、見えなくなっていた。着物の世界では「季節感」もまた、ルールの一部だと思っていたんです。

 ・・・というか現実問題、着物の世界では季節感もルールの一部だと思う。なぜ「10月1日から袷を着る」というルールがあるか。それは、そうしたルールが季節感に繋がると信じられているからでしょう。

 でも実際は、10月に真夏日を記録したりなんかする。そんな日にも袷を無理して着るのが季節感を表現しているとは、わたしにはどうしても思えない。

 新潟で真夏日を記録した10月9日、わたしは友達に会いに、東京に出かけました。電車の中もカフェの中も、エアコンが入り、友達は、フレンチスリーブのサンドレスを着て現れました。その装いを見て、わたしは思わず笑ってしまいました。「今日はほんとに暑いんだな」と実感したからです。

 「10月にサンドレス」。ただそれだけ聞けば、季節はずれに感じるでしょう。でもあの日、間違っていたのは、気候のほうであって、彼女の装いは気候に忠実だった。

 互いの服装を見て、季節はずれの暑さにニヤリとする、それこそが、本物の季節感ではないか、と思いました。




 聞くところによれば、「10月1日からは袷」というルールは、明治時代の役人の衣替えに倣ったものだとか。

 ・・・なんて聞くと、いかにも伝統的で権威がありそうですが、考えてみれば、戦前は全体主義の時代。思想でも服装でも、何でもが揃っていることが美しいとされた時代。戦争に行くときでさえ、なぜか兵隊さんたちは足並みを揃えて行進していた。

 今、北朝鮮の一糸乱れぬマスゲームを見ると、その美しさに感動するよりむしろ、その統制の強さに寒気を覚えますが、日本だって戦前は似たようなものだった。「10月1日からは袷」というルールは、そういう時代の名残なわけです。ある日を境に一斉にビシッと着替える。そういうマスゲームに国全体が酔いしれていたのでしょう。




 今は時代が変わり、気候も温暖化傾向にある。だったらじゃあ、現代の気候に合わせた新・着物ルールに従えばいいのか。

 それも違うと思う。「秋分までは薄物でいいんですよ」なんて聞けば、一見いかにもリベラルで開明的に聞こえますが、いかなる新ルールも、ルールであることに違いはなく、「みんな『せえの!』で衣替え」というマスゲームであることに、結局変わりはないからです。

 多少ルールを緩めようが変えようが、それがルールであるうちは、単なるリベラルごっこにすぎない。



 とはいうものの、どの季節にどんな装いをするかが書かれた季節の着物早見表は、わたしのような初心者にとっては非常に便利です。なぜかというと、単衣がどれくらい涼しいか、袷がどれくらい暖かいか、初心者には分からないから。

 「6、9月は単衣、7、8月は薄物」などと季節ごとに色分けされた表は便利。「じゃあとりあえず、それに従って夏物を揃えて見るか」という目安になるから。こういうのが全くなかったら、着物を着慣れない初心者は、どの季節にどんなものを着たら快適なのか、何をどう揃えていいのか、皆目見当もつかない。

 もっと参考になるのは着物ブログで、「今日は最高気温が何度だったから、こういうものを着ました」などと書いておいてくれると、こっちも天気予報とニラメッコして、明日の着物が選びやすくなります。




 わたしはこの「季節ごとの装いの目安」と「季節ごとの装いのルール」をいままでごっちゃにしていた気がします。ヘタに放任されてあとから悪口を言われるくらいなら、おとなしく着物ルールにしたがっておいたほうが気がラクだと思っていた。

 でも実際は、わたしが知りたいのは「季節のルール」ではなく、「気温との相関関係」だったんだ、って気付きました。どんなとき、どんなものを着たら快適か、という目安。暦で区切るのではなく、気温や湿度を目安にする。それが本当に季節に沿うことでは?

 日本の秋は、一直線に寒くなるのではなく、暑くなったり寒くなったりを繰り返しながら、徐々に冬へと変わってゆく。それが真の日本の秋の姿であり、日ごとに装いが変わること、それこそが真の季節感なのでは。

 「気温との相関関係」、それですらあくまで「目安」にすぎず、自分に合わせて自由にカスタマイズしていいのでは。なぜって、体のつくりはみなそれぞれ違うのだから。

 先日サンドレス一枚の友達を見たら、なんだか自分が長袖を着ているのがバカバカしく思え、わたしも着ていたカーディガンを脱ぎましたが、まもなくまた着直しました。なぜってエアコンが効いていて寒かったからです。

 友達がどうでも、冷え性なわたしはカーディガンを着なかったら体に変調をきたす。そう思ったからカーディガンを着ました。フレンチスリーブの友達と、長袖のわたしが一緒にいるの、人から見たらヘンかもしれませんが、冷え性で寒がりのわたしはいつだってそう。人より常時、1、2枚は余分に着ているんです。

 そんな寒がりなわたしですら、この暑さの中、「10月から袷」という着物ルールに従うのは無理がある。標準的な気温感覚の方には、いかにこの暑さが堪えることか、お察し申し上げます。



 でもこの暑さは、もしかして、着物愛好者にとっては福音かも。

 この記録的な暑さが、着物マスゲームから脱却するきっかけになればいいな、と思ってます。




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Author:うさぎ
50歳にして着物を着始めた、最初の一年間の日記です。 

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