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「アミサンノキモノ」 鳥羽亜弓

 鳥羽亜弓著「アミサンノキモノ」シリーズのvol.1とvol.2を続けて読みました。

新版 浴衣の次に着るきもの (アミサンノキモノ)
新版 浴衣の次に着るきもの

(2003/10)
鳥羽 亜弓
暮らしのきもの歳時記 (アミサンノキモノ)
暮らしのきもの歳時記

(2003/10)
鳥羽 亜弓


 100%着物生活で、2、3歳の幼児二人を育てる通称「アミさん」が書かれた本です。この本が書かれた当時はホームページをお持ちだったようですが、今はもうないみたい。



 この二冊、最初に出版された時期が2年違い、その二年の差が本の内容に顕著に現れているのが興味深かったです。

 一冊目「浴衣の次に着るきもの(vol.1)」は、「着物ママの子育て奮闘記」という感じ。まさに現在進行形で子育て中の着物母さんの日々が赤裸々に綴られた本です。突然手作り裏技紹介が始まったり(※ ウールの裄が足りないときはバイアス方向にアイロンで思い切り伸ばす(p.73)なんて裏技まで!)、章ごとに文体が違ったりと、次のページの展開が読めない。手作り感満載でした。

 二冊目「暮らしのきもの歳時記(vol.2)」は、「ハートフルな着物エッセイ」という感じ。vol.1よりも完成度が高く、きれいに纏まっていました。書かれている内容そのものはvol.1とそんなに変わりませんが、おそらく、子育ての一番大変な時期が過去のものとなり、美しい思い出となってから書かれたのでしょう。どこか臨場感が薄い。

 わたしも子育てを経験したから分かるのですが、子育てというのは、喉元を過ぎると美しき良き思い出に変化してしまう。苦しかったことも熱かったことも、全部忘れて、いい感じにセピア色の写真に仕上がってしまうんです。まさにその現象をこの本で目の当たりにした気がしました。

 で、どちらが良かったかというと、わたしには、圧倒的にvol.1が良かったです。vol.2は大人の配慮や遠慮が感じられ、歯切れが悪い。それに引き換え、vol.1にはソウル(?)が感じられるから。

 ただでさえ大変な幼児の子育て、ただでさえしんどい着物初心者。それを同時に経験したのだから、それはそれは大変でしんどかったことでしょう。その熱さが痛いほど伝わってくる。この著者にしか書けない、それもこの時期にしか書けなかった貴重な本だと思います。子育て経験者として、また着物初心者として、共感する部分がたくさんありました。

 それが私の、自分の財布に正直な範囲で着物暮らしを楽しむ着物、「いいものはいいけど、凄くなくてもいいんだ」と、考える基盤になってます。(p.23)


大事なのは礼を尽くそうとする心。それを各自のお財布の事情にあわせてけんめいに装うのが礼装であって、全国共通の制服ではないという事だと思うのです。(p.24)




 おおっ、と思ったのは以下の箇所。

 さて、長襦袢って、何の為に着るのでしょうか。(中略)

 私の場合は「愛する旦那様との楽しいひとときの為に、着ます!」そう、私にとっての襦袢は女として一番気合の入る所なんです。それが襦袢です。

 何故昔の人はあれだけ襦袢に凝り、お金をかけ、個性豊かな襦袢を残してきたのか? それはひとえに〈情事の勝負服〉だったからでしょう。(p.44)


 私も、同じ着物でも何種類かの着方をする。子供連れの場合、着付ける時に足を肩幅に開き、下前は股ではさめるくらいに浅くあわせ、腰紐を腰骨の上で締める(中略)。これだと子供を抱えて買い物袋を持ち、階段を駆け上がることも可能だ。

 一方、両親に子供を預かってもらい、夫とデートする時は、左足を気持ち引いてスタンスを狭くとり、足元にかけてすぼめぎみに着る。優雅に見える。優雅だが瞬時にダッシュができない。でも大丈夫。子供がいないから(笑)。(p.113)


 女性ですねえ~。ママだけど女性。子育ての渦中にあってもママに終始しないところが素敵。片足を引いて裾すぼみに着る裏技は、わたしもぜひ真似したいと思います。



 一番良かったのは「着崩れ」と題する一節です。

 「着崩れしない為には、どうすればいいのでしょう?」(中略)
 「動かないことです。お姫様や仏像のように、動かなければ着崩れはしません」(p.108)


 着崩れるのは自然な事。そしてそれを〈直す〉事。このくり返しがあって着物だと、思うのだ。

 動けば崩れる胸元をちょくちょく直す仕草が、これまたいいのじゃなかろうか。それが着物独特の色っぽさを醸し出すから、着物っていいねぇ、という感覚が今でもあるのだと、私は思うし、思いたい。

 着崩れするから、危ういから、だからたえず気にする・・・・・・というこの〈はじらい〉がいいのである。(p.109)


 市川昆監督の「細雪」を思い出しました。次女・幸子を演じる佐久間良子の着物を直す仕草の美しかったこと。演技というより、それが身についている。そう感じました。



 たぶんこの本を読んで、「100%着物生活」に憧れる人は少数なのでは、と思います。むしろ現実を見せてくれる本。少なくともわたしは、「わたしには無理っ」と感じました。うちの子たちはもう大人だし、子育て中のアミさんより、はるかにハードルは低い。それでも無理だと思った。

 でも「じゃあ、自分はどの程度着物と付き合いたいのか」。そういう問いを、この本は投げかけてくれました。


 また、「今、初心者の時期にこのブログを書いていて良かった」と思いました。アミサンノキモノvol.1と同じで、わたしも今、きっと今のこの時期にしか書けないことを書いていると思うからです。


 
 
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Author:うさぎ
50歳にして着物を着始めた、最初の一年間の日記です。 

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