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「きもの365日」 群ようこ 2

 群ようこの「きもの365日」を、ついに読み終えました。

 この本は、毎日着物を着ると思い立った著者の1年間の日記です。わたしもこの一年着物を着ようと思っていたので、2月に読みかけたのですが、一年を経験しないうちに読んでしまっては、種明かしを先に見てしまうようでつまらないと思い、読むのをやめて、大事にとっておいたものです。

 やっと年末になったので解禁。

 予想通り、とても面白かった!! 著者の経験と、自分のこの一年の経験を比べることができて、とーーーっても面白かったです。読まずにとっておいて正解でした。



 ただ感想は、予想とは異なりました。これを読んだらてっきり「あるある大事典」になると思っていたのに、むしろ、「同じ体験なのに、こんなにも違うのか!」と驚く結果となりました。

 まあよく考えてみれば、それも道理なんですけどね。土壌があまりに違うので。

 群さんは着物を20~30年着続けてきた方、わたしは着物初心者。

 群さんの着物は全てお誂え、わたしのは数千円の中古着物中心。



 この本を読んで何より感じたのは、「着物を着るって大変・・・」です。物理的な大変さだけ見ると、自分で体験したよりもはるかに大変そうで、こんな苦労はわたしには無理っ!と思いました。もしこれを2月の時点で最後まで読んでいたら、着物に恐れをなし、着ることを諦めてしまっていたかもしれない。そんな大変さでした。

 とにかく毎日、半襟付けと足袋洗い、そして着物の整理に追いまくられる。様々な不運に次々見舞われる。雨コートや着物が度々色落ちしたり、たった3回着ただけの袷の裾が袋になったり、極端にシワシワになってしまったり。

 あまりに大変なので、著者自身、ほぼ毎日着物を着たのは最初の1ヶ月だけで、それから半年以上、週に一度のお稽古事の日と、どうしても着物を着る必要のあるとき(着物対談とか)しか着物を着なくなってしまいます。

 九月八日の日記にこうあります。

きもの365日といいながら、年頭に挫折してしまったので、忸怩たる思いである。秋になったらせめて週に三日くらいはと、秘かにチャレンジの炎を燃やしていたのに、この暑さでは見事にその気持ちも萎える。(p.216)


 それでも半襟付けや様々なメンテナンスといった雑事・悩みから解放されることなく、多忙な著者をますます多忙に追い込む。だから着てはいなくても、やはりこの本は「きもの365日」なのです。



 これを読んで、わたしもけっこう苦労したと思っていたけれど、実はこれでもラッキーなほうだったのかもしれない、と思いました。

 裄出しに追いまくられ、袋直しを余儀なくされ「あーあ、誂えの着物なら、こんな苦労はしなくて済むのに」と中古着物しか買えないわが身の不幸を嘆いたこともあったけれど、お誂えはお誂えで、実はもっと大変なのかもしれない。

 その理由を推測してみるに、高価な着物のほうが天然染料だから色落ちしやすいのかもしれない? 新しい意匠の着物はまだ充分に検証されていないから不具合が起こりやすいのかも?? 実際はどうしてだか分かりませんが、とにかく大変そう。



 あと、この一年、わたしは初心者だからこんなに辛いんだろう、と思ってきた。でも実は、初心者ならではのビギナーズラックに守られてきたのでは、という気がしてきました。「予備知識が少ない」というビギナーズラックに。

 著者は本物志向で、経験と知識があるがゆえに様々なこだわりがあり、ラクなほうに流れることを自分に許さない。

 たとえば、衿芯は絶対に三河芯でなくてはならないので、洗濯のたびに半襟を付け替えなくてはならず、半襟付けに追いまくられる。その長襦袢、半襟も正絹。だからよけい手間がかかる。

 着物ももちろん正絹なので、いかに蒸し暑い時期であろうと、雨天の日は雨コートを着なくてはならない(雨コートだけはポリエステルでもいいらしい)。その雨コートは何度も色落ちして、着物に色を移してしまう。

 着物の下に洋装の下着を着ることを潔しとしないものだから、腕が冷え、着物を着るたびに体調を崩してしまう・・・。


 
 わたしは基礎知識が不足しているがゆえに、こだわろうにもこだわりようがなく、それゆえラクだったんだなあ、と読んでいて思いました。

 何が正式で、何が邪道かも分からなかったから、いろんな人の言うことに翻弄され、一時は確かに辛かったけれども、最終的には、自分の気に入ったやり方を好きに選べた。

 様々なルールにがんじがらめになりはしたけれど、それは人からとやかく言われるのが怖かったからで、自分自身には何のこだわりもない。だからひとたび別の考えに触れると、たやすくルールの呪縛から解放される。もしルールを作っているのが自分だったら、そう簡単ではなかったと思います。

 必ずしもラクなほうがいいとは思いませんが、もし著者ほどに大変だったら、わたしは今着物を着ていないと思うので、垣根が低いところから始められて幸いでした。




 一方、精神的にはわたしのほうが辛かったと思います。この本にはわたしが一年間、感じ続けてきた精神的な辛さが全く書かれていない。わたしは「こんなわたしが着物を着ていいんだろうか」という負い目をずっと感じていたけれど、それが全くない。これも意外でした。

 いや・・・よく考えれば、これもむしろ当然か。

 著者は有名な女流作家で、この本を出す2年前にはきものに関する本を出している(※「きものが欲しい!」(2002年) 文庫本化は2006年)。和の習い事や着物対談など、着物を「着なくてはならない」場面も多く、毎日着物を着ようと思い立ったのだって、ただの酔狂ではなく、仕事のため。

 つまり着物を着るのがむしろ使命なのだから、「着ていいのかな」も何もないものですね(笑)。

 和の習い事もしておらず、もちろん着物対談などあるわけがなく、地元商店街の福引を引きに行くのに着物で行き、「おでかけですか」と人に聞かれて昨日もビビってしまったわたしからすれば(笑)、これはとても羨ましいことでした。


 ・・・いや、そうでもないかな? 「着る気が起きなくても着なくちゃならない」著者と、「着る気満々なのに気がひける」わたし。どっちがより辛いだろう? ウーン・・・、難しい問題だ。

 「勉強したくないのにしなくちゃならない受験生」と「勉強したいのにできない苦学生」と同じですね。子供の頃「勉強できる今の世の中は幸せ。昔の苦学生は・・・」と親にさんざ説教されつつ、その幸運な環境を存分に生かせなかった身からすると、前者のほうが必ずしもシアワセとは・・・一概にいえない気がする




 とまれ、同じ「一年間着物を着る」という体験でも、人によって、また置かれた状況によって、こんなにも違うのだ、と知りました。「あるある大事典」になるかとおもったら、全然そうじゃなかった。

 ひとつ共通している部分があるとすれば、それは「着付けがうまくいかない」という悩みでしょうか。でもこれも体型が違うので、気にするポイントも違う。わたしの悩みはお腹、群さんの悩みはお尻。誰もがお腹の出っ張りに悩んでいるわけじゃないんだー、というのが新鮮な驚きでした(笑)。



 でもひとつだけ、グレイトな共通点がありました。それは・・・










Img_121639.jpg
コレです!! エジプト柄の半幅帯。


 実はこれ、なんと、群さんとお揃いなんです! というか、色違い。群さんのは黄色。写真が三回も出てきました。本文にも度々この帯を締めている様子が記されています。ヘビロテされているようです。

 人気作家とお揃いの帯! ウレシイ~~(ミーハー

 この帯は、禍々しいエジプト柄が気に入って買ったものの、外出時には締めたことがなかったのですが、これからは締めます! 外に締めていって、自慢します! 「これ、群ようことお揃いなのよ~!」って^^。




 
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Author:うさぎ
50歳にして着物を着始めた、最初の一年間の日記です。 

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