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「天使突抜一丁目」 通崎 睦美

天使突抜一丁目―着物と自転車と
天使突抜一丁目―着物と自転車と
通崎 睦美 淡交社 2002年刊

 着物姿の女性が自転車に乗っている表紙の写真があまりに衝撃で、手に取りました。なんと足元は下駄!

 和装に自転車というと、大和和紀の「はいからさんが通る」で主人公の紅緒さんが袴姿で自転車に乗っているシーンがあった気がします。でも袴と着物では大違い。わたしも着物で自転車に乗れないかと一瞬考えてみたことはありますが、「どう考えても無理でしょ」と、試してもみないうちに諦めました。

 でも表紙はただのイメージかと思いきや、本の著者は本当にこんな感じに、いつも自転車で京都の町内を走り回っているのだそうです。危険なのでは?と思いきや、

着物に自転車は結構目立つし、それに気付いた車は、たいてい車の方から避けてくれる


から、案外安全なのですと(笑)。


 ちなみにこの本の著者である通崎睦美さんは、マリンバ奏者です。でももしかしたらアンティーク着物コレクターとしてのほうが、有名かもしれません。「はじめてのアンティーク着物」という本にも、この方の特集記事が載っていました。

 着物コレクターといっても、たんすにしまいこむのではなく、着るコレクター。実際この本には、アンティークな着物をお召しの写真が京都の町並みを背景にたくさん挿入されています。

 通崎さんは京都生まれの京都育ち。お琴ではなくマリンバを弾く人だろうが、髪型がざんぎりのおかっぱだろうが、男物を着ていようが、帽子をかぶっていようが、ラーメンを食べていようが、袖から腕が丸見えになっていようが、自転車に乗っていようが、絵になる。それは京都の価値観、京都の言葉、京都の文化の中で育った人の持つ雰囲気のせいでしょうか。

 それとも、写真を眺めるこっちが「この人は京都の人」という先入観で見るから、そう見えるのか。

 ・・・理由は分かりませんが、とにかくカッコイイ。


 ただし、真似はできないですね。「こういうのもアリなんだー」と驚きつつ、それでもやはり、わたしには着物で自転車に乗る勇気はない。京女のという肩書きはおろか、きものを着るのに何の正当性も持たないわたしにしてみれば、身近に感じて参考にさせてもらうより、遠くから眺めて憧れるくらいがちょうどいいような気がします。

 唯一お手本にさせてもらうとするならば、裄丈くらいでしょうか。

 アンティークモノって、丈が短いものが多い。裄も短い。そこがアンティーク着物の最大のネックですが、通崎さんはおはしょりもとっているし、どの写真を見ても裄丈が体に合っている。

 相当小柄な方なのか、それともサイズが合うものを選んで着ているのか。一体どんなマジックがあるのだろうといぶかりつつ読み進めていったら、最後のほうに種明かしがありました。「お抱え和裁士」がいるのだそうです。きっとその方に、裄も直してもらっているのでしょう。

 素敵な柄の着物を見ると、つい裄丈を妥協して欲しくなりますが、やっぱり寸法が合ったものって素敵。この本の写真を見ていてそう思ったので、寸法で妥協せず、自分にあったサイズのものを着ようと思いました。



 ・・・以上が私自身の感想。でも人によって、全く違ったものをこの本から得ることでしょう。アンティークきものが好きな人はきものの柄に目がいくだろうし、京都が好きな人は、京都のたたずまいや、京都の文化に関する記述い惹かれるだろうし。さまざまな読み方ができる本だと思います。

 ただし一つだけ、読み手を選ばない魅力がある。

単なるコーディネートではおもしろくない。着せるものによって変わる、生身の人間の表情こそが楽しいのだ。



 従姉妹に成人式の振袖の見立てを頼まれたときの楽しさを、著者はこう書いていますが、それはこの本の読者も同じ。着るもの、行く場所によって変わる著者の表情の変化が楽しい。それが、どんな読み方をする人にも共通したこの本の魅力では、と思います。



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Author:うさぎ
50歳にして着物を着始めた、最初の一年間の日記です。 

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