「きものが欲しい!」 群 ようこ

きものが欲しい!
きものが欲しい!
群 ようこ 角川文庫 2006年刊



 「きものが欲しい!というまさに、今のわたしの気分にぴったりな題名に惹かれました。 

 わたしは、1000円のウールの着物一枚買うにもけっこう何日も悩みます。一方この本の著者は、30分のうちに500万円もの大金を着物につぎ込みます。

 でもかける金額は違っても、きものに対する憧れは同じ―――そう思って、「きものが欲しい」という気持ちに共感しながらて読み始めました。




 けれども、読み始めるうちに、怖くなってきました。わたしがこれまで感じていた「きものを取りまく今の世間の現状」を裏付ける内容だったからです。

 たとえばこんなエピソードがありました。お店側のミスで、通常の着方では着られないほど短い丈のきものが仕上がってきたのだが、それをつき返しもせず、文句も言わずに購入した、という。

トラブルの原因は、小さいといえば小さい


注文とは違うということでその場で怒って、着物を叩き返すという方法もあったかもしれないが、私はそういうふうにはしない。


と書かれていましたが、著者の太っ腹さより、わたしはむしろ、お客の立場の弱さを感じました。「私はそういうふうに『しない』」というよりは雰囲気上「できなかった」のではないか、という気がしてならない。

 この話はほんの一例で、こんなエピソードが次々に出てきます。呉服屋に行くと感じる怖さを裏付ける内容だったので、怖かったです。



 また、「かける金額は違っても、きものがすきな気持ちは同じ」と思うのはわたしのほうだけで、著者にとっては違うのかな、という寂しさも感じました。

それなりの値段の物を買える人でなければ、気軽に着物を着てくれるな的な、トゲを感じました。


というレビューがアマゾンにありますが、わたしも同じように感じました。

 たとえば著者は若い人の着る安いポリエステルの着物に対して批判的ですが、好きじゃないものは自分が着なければいいだけのこと。自分以外のほかの誰がどんなきものを着ていたっていいじゃないですか。

 著者のように、高額なきものをたくさん買って日本の伝統工芸文化を支えるのは、それはそれでよいことと思います。でも、みんながみんなそう考える必要はないのでは。他の人がどんな気持ちで、どんな素材の、どんな価格のものを着ていたって批判するには当たらないのでは、とわたしには思えます。

 そもそもこのように、人の着ているものの素材や価格を値踏みする人の存在自体が、わたしにとっては「やっぱり」と思わせる懸念の裏づけで、気分が滅入りました。




 とまれ、これから高価なきものを誂えて揃えていこうと決意を固めている人にとっては、参考になる本だと思います。怖い話を読みたい人にも(笑)。

 また、この本に含まれている3つの対談はどれも純粋に「きものが好きーーーー!!」という気持ちが伝わってきて、楽しかったです。

 対談時のみなさんのお着物姿(カラー)もと~っても素敵! きもの自体の上等さ、高価さは、わたしにはよく分かりませんが、みなさんとてもよくお似合いだと思いました。



 
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Author:うさぎ
50歳にして着物を着始めた、最初の一年間の日記です。 

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