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「芸妓峰子の花いくさ」 岩崎 峰子

 岩崎峰子著「芸妓峰子の花いくさ」を読みました。

 スペイン語の先生が「Mineko Iwasakiの"La Vida de Una Geisha"(Geisha, a lifeのスペイン語版)が読みたい」と言っていたのがきっかけです。先生のお国ではなかなか手に入りにくいそうなので、「それならかわりにわたしが読んで、内容を教えてあげる」と約束したのです。

 「Geisha, a life」は、厳密には「花いくさ」の翻訳本ではないようですが、日本語版は存在しないようなので、こちらを先に読みました。


芸妓峰子の花いくさ Geisha, a life
上記2冊の表紙はいずれも現役時代の著者。
まだ十代の頃かな? かわいい^^。


 著者は元祇園の名芸妓。6年間連続ナンバーワンの売り上げを誇り、昭和30年から40年代頃にかけて15年ほど活躍したのち引退したようです。スピルバーグの映画にもなったアーサー・ゴールデン作『さゆり (Memoirs of a Geisha)』(1997年)に取材協力し、ゴールデン氏を相手どって訴訟を起こしたことでも有名です(ウィキペディア参照)。



 映画「『さゆり」はわたしも見ましたが、全体的に、奇妙~~~な映画(笑)。原作者も米国人なら、監督も米国人、おまけにキャストの多くを中国人が演じているからでしょうか。日本人が見ると、何かものすごい違和感を感じる。

 わたしも戦前の日本を知っているわけではないし、芸者の世界に詳しいわけでもないので、どこがどうヘンと、はっきりは言えないのですが、なんともいえないフェイク感があり、「何かヘン、どっかヘン! これは日本じゃないぞ!」と、心がガンガン警鐘を鳴らす感じ。パラレルワールドに迷い込んだような気分で、ものすごく疲れました。

 でもまあ、こういう、なにか体がムズムズするような違和感はなかなか他の映画では味わえないので、そういう意味では貴重な映画ですね(笑)。



 「芸妓峰子の花いくさ」のほうは、これはもう、直球で読書の醍醐味を与えてくれる本でした。本当~~~に面白かった!! 芸妓時代に著者が経験したこと、感じたことを淡々とつづっているだけなのですが、一本筋の通った著者の生き方といい、あまりにも特殊な祇園という場の奇妙さといい、息をもつかせぬ、めくるめく世界。一気に読み終えました。

 友禅作家の家に生まれた著者のおいたちも興味深かったし、置屋の養女に貰われた経緯は何度読んでも理解できないくらい、複雑でした。多くの著名な顧客とのエピソードは、いくら40年前のこととはいえ、こんなに赤裸々に書いてしまって、祇園の信用にかかわらないのかな、と心配になるほど。とにかくビックリすることばかりでした。



 きものに関しては、まず重さがなんと約20キロというのが驚きでした。自分の力ではとても着ることができないので、男衆が渾身の力を込めて着せ付けるのだとか。そんな重いものを身につけ、一箇所あたりのお座敷滞在時間は平均たった15分。こっちのお座敷、あっちのお座敷を一晩に10箇所以上も飛びまわっていたそうです。

 しかもさすがに売り上げナンバーワンの売れっ子芸妓ともなると、そんな豪華なきものを毎週新しくつくるのだそうです。想像するに、何か豪華な絵巻物のようですね。収納をどうするのかと思ったら、気前よく、すぐ人にあげてしまうのですと。





 「芸者」という言葉から想像するのは、戦前の芸者で、まさにそれは「さゆり」に描かれているような、ちょっと淫靡な世界。「芸は売っても体は売らぬ」といいつつ、現実には身売りに近いものがあったのでは、と思わせる戦前の芸者と、「花いくさ」に描かれた戦後の芸妓・舞妓とでは、だいぶイメージに隔たりがありました。だからこそわたしたちは戦前の芸者を「芸者」、戦後の芸者を「芸妓」と呼び分けたがるのかもしれませんね。

 とはいうものの、お座敷から帰ってきものを脱ぐと、帯や袖に差し込まれた札束がバサバサ落ちるのだそうで、うーん、やっぱり普通の世界ではないなあ、という気も。



 かたや小説、かたやノンフィクション、かたや戦前、かたや戦後という違いもあって、「さゆり」と「花いくさ」、両方触れたのは、面白さ倍増でした。

 ちなみに「花いくさ」の著者が「さゆり」の原作者ゴールデン氏を訴えたのは、ウィキペディアによれば

契約では小説の登場人物はすべて匿名性を保つはずであった。なぜならこのことは芸者社会では暗黙の了解であり、これを破ることは重大な違反だったからである。ところがゴールデンは「謝辞」のページに情報提供者のひとりとして原告の名前を挙げてしまった。


ことが理由とされていますが、その割には「花いくさ」にはもっと赤裸々に芸者社会が描かれているので、この理由はちょっと不可解に思えます。

 むしろ本当の原因は、「さゆり」の登場人物の一人に、「花いくさ」に出てくる同じ立場の実在の人物のあだ名をつけてしまったことなのでは?と思えたりもして。そのあだ名の本人が見たら、ちょっと辛いだろうな、と思う展開だからです。



 ちなみに、同じ著者の「祇園の教訓 昇る人、昇りきらずに終わる人」も読みました。こちらは主に、立身出世のコツが書かれた本。

 祇園についても調べました。ネット上では、「京都・祇園へ行っちゃいましょうよ」というサイトがとても参考になりました。

 元舞妓さんが質問に答えるインタビューも見つけました。
  まめ速:元舞妓だけど何か質問ありますか?
  いたち速報:元舞妓です

 「Mineko Iwasakiの"La Vida de Una Geisha"が読みたい」と言っていたスペイン語の先生は、わたしの興味をきものへといざなった人です。彼女の日本趣味が伝染してしまい、わたしはきものを着始めたのです。そして今回、またしても影響されて、芸者にちょっとハマってしまった・・・^^;。

 まだ先生に「花いくさ」の話をしていません。これから話すのが楽しみです^^。








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Author:うさぎ
50歳にして着物を着始めた、最初の一年間の日記です。 

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